合格を左右する記述式
行政書士試験において大きな配点を占める記述式問題。300点満点中の60点という配点なので、出来次第で合否が決まると言っても過言ではない。
平成18年から試験制度が大きく変わった行政書士試験であるが、新試験制度になってからは合格率が上下している傾向が見受けられる。
【参考】過去数年間の合格率
平成25年度 10.10%
平成26年度 8.27%
平成27年度 13.10%
平成28年度 9.95%
平成29年度 15.72%
平成30年度 12.70%
令和01年度 11.50%
令和02年度 10.70%
令和03年度 11.18%

記述式の予想得点が知りたいです
この記述式問題であるが、出題者の意図を把握し、適切な判例知識等を引出し40字前後で答案にする必要がある。採点基準は公開されておらず、このため合格ラインを突破しているか分からない。
記述式の無料採点を実施するスクールまとめ
前置きが長くなった。この記述式採点を無料で行う大手スクールを紹介したい。受験生の方のなかには解答速報の模範解答を元に、ご自分で採点を行う方もいらっしゃるだろう。
しかし過去の試験情報が蓄積された大手スクールによる無料採点である。これを利用しない手はない。
LEC東京リーガルマインド
資格指導の大手であるLEC東京リーガルマインドでは、無料成績診断サービスの一環として、40字記述式採点を行う。
LECは記述も採点!2022年11月13日(日)18時~登録受付開始!
あなたの答案を無料で成績診断いたします!合格発表よりも前に、ご自身の成績と他の受験生の解答状況を確認するためにも、ぜひご利用ください。
※採点はLECの見解によるものです。合否を保証するものではありません。成績診断スケジュール
(続きはLECサイトで)
引用「無料成績診断 - LEC行政書士講座」
▲無料成績診断の一環として、今年も記述式の無料採点を実施!(画像は平成29年度LEC行政書士講座「無料成績診断」ページから)
フォーサイト行政書士講座
フォーサイト行政書士講座では「自己採点サービス」を期間限定で実施している。
この「自己採点サービス」内で、記述式の採点基準(キーワード)と予想配点が記載されており、得点予想をしたい受験生の方におすすめ。
令和4年度 行政書士試験の解答速報・試験講評
(中略)
ご自身で採点が行える自己採点機能も公開いたしますので、ぜひご活用ください。
※公開日は変更となる可能性があります。
引用「令和4年度 行政書士試験の解答速報・試験講評(フォーサイト行政書士講座)」

合格ライン付近の受験生の方におすすめです
▲記述式の採点基準と予想配点が掲載されている(画像はフォーサイト行政書士講座から。なお予想配点はモザイクをかけています)
記述式試験講評
フォーサイトでは、記述式の試験講評も掲載している。
4. 行政法(問題8~問題26、多肢選択式:問題42・問題43、記述式:問題44)
(中略)
記述式については、例年通り問題44の1問が出題されました。今年の行政法の記述式は、義務付け訴訟ですが、問題文に「同法の条文の表現を踏まえて記すこと」という条件がついていたので、大枠は分かっていても、この部分でひっかかった方がいたかもしれません。全体としては、難しい問題やイレギュラーな出題は散見されるものの、条文や著名な判例を学習しておけば得点ができる分野が中心という印象です。ここ数年の傾向からしても大きな変更はないと思います。
(以下、省略。なお、民法の記述式については、公式サイトでご確認いただきたい)
東京法経学院・笠原裕明先生の採点予想
記述式の採点予想も行う東京法経学院・行政書士講座 の笠原裕明先生による試験講評。
[記述式]
行政法から1問、民法から2問が出題されました。この構成は、例年どおりです。
問題44は、「B市」を被告として「義務付けの訴え」を提起すべきこと、問題45は、本人の無権代理人相続の事案であり、本人が「無権代理行為の追認を拒絶」しても「信義に反しない」こと、問題46は、「賃貸人の妨害排除請求権」を「代位行使」できることは、比較的容易に思い浮かぶのではないかと思いました。
ある程度学習された方であれば、各問題12点程度得点して欲しいところです。[一般知識等]
一般知識等では、40%ルールがあるので、最低6問正解しなければなりません。
令和4年度行政書士試験でも、(続き、および法律科目の分析は、東京法経学院サイト↓でご確認ください)
アガルート行政書士講座
林裕太先生(元資格の大原・行政書士講座)など実力派講師陣による講義が特長のアガルート行政書士講座。
アガルートでは、2020年度、2021年度と先着150名様限定で記述式答案の無料採点を行ってきたが、2022年度については実施の有無は不明(2022年11月10日現在)。アガルート解答速報はこちら

またアガルートでは、分析講義動画の公開など、得点予想に役立つコンテンツも
参考までに、2021年度のもの↓
林講師・相賀講師の再現記述添削サービス【限定150通】
林裕太講師・相賀真理子講師が採点し,コメントを付して返信いたします。
ご返送につきましては11月末を予定しております。引用「【解答速報】行政書士試験|アガルートアカデミー」
なお、採点基準は林裕太先生ら独自のものであり、試験を実施する行政書士試験研究センターの採点基準と一致するとは限らない。
もっとも、林裕太先生は行政書士試験の指導実績が豊富で、しかも記述式の問題集まで執筆している。したがって、その採点基準は注目に値するだろう。合格ライン付近の受験生の方におすすめと言える。
2022年版 行政書士試験 記述式対策完成への50問-過去問27問+予想問題23問 林裕太 (著)
▲解答速報のほか、速報版の分析動画の公開も。(画像はアガルート行政書士講座・解答速報ページから)
【動画解説】「講師4人による全体総評・後半【法令多肢・一般知識・記述】|アガルート行政書士講座」
TAC行政書士講座
資格の学校TAC・行政書士講座でも40字記述式問題の採点を行う。
こちらは解答速報内ページにある本試験無料採点サービス「本試験データリサーチ」から入力するもので、記述式問題も含め全ての解答を入力すると、後日成績結果を提供する。
なお締め切り期限が設定されているので、利用を考えている受験生の方は注意をして頂きたい。TAC本試験データリサーチはこちら
記述式も採点!無料Web採点サービス実施
『本試験データリサーチ』
(中略)
解答入力画面より、設問ごとの解答を入力してください。記述式の解答につきましても画面上で入力してください。記述式の解答は、45文字以内で、改行は使用しないでください。引用TAC解答速報ページ
▲40字記述式採点も無料で実施。TACの本試験データリサーチ(画像は平成29年度に実施された解答速報ページから)
辰巳法律研究所・行政書士講座の記述式講評動画
辰巳法律研究所では、山田講師(元伊藤塾)、竹内講師(元伊藤塾)による記述式分析動画を公開している。
【動画】「2022行政書士本試験 記述式 速報」
講師の分析も参考に
各スクールの分析とは別に、講師が個別に分析記事を掲載している。所属するスクールの公式見解と一致するわけではないが、指導経験豊富な実力派講師による分析。こちらも併せて参考にされるといいだろう。
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行政書士講師ブログ | 試験部
行政書士講座の講師のブログの新着記事です。
shikaku-pass.net
LEC横溝慎一郎先生の採点予想
講師歴20年以上のレジェンド・横溝慎一郎先生(LEC行政書士講座)による記述式採点予想。なお、LEC行政書士講座の公式見解ではない。
2022年11月19日(土) 23時14分28秒
行政法択一の難易度と記述式の採点基準について(中略)
記述式の採点はどうなる?先程書いたように、前年度と今年度でそれほど択一式の出来具合に違いはなさそうです。
とすると、極端に厳しくなるとか、逆に極端に緩くなるということは、考えにくい。
やはり書くべきことがきちんと書かれているかで、点数がもらえるかどうかが決まると考えておくべきでしょう。
問題44は、わざわざ書くべきことに番号をつけてくれています。これはパーツごとに評価すると考えてよいと思います。
問題45は、「Aは、これを拒みたいと考えているが、認められるか」という問いなので、ここに正面から正しく答えていない場合、0点でも仕方ないと思います。これは、「厳しい」のではなく、「ふつう」の採点です。理由が抜けていると大幅減点を覚悟しないといけないというのも、同じことです。
問題46は、「Aは、Cに対し、どのような請求をすることができるか」と聞いています。ですから、具体的な請求内容がなにも書いていない場合、請求内容が間違っている場合、手段の部分が正しく書かれていても、0点でも仕方ありません。
(続きは横溝慎一郎先生の公式ブログで↓)
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行政法択一の難易度と記述式の採点基準について | 横溝慎一郎行政書士合格ブログ
本試験アンケートをもとにした所感についての動画です11月23日は行政書士EXPOです。行政書士エキスポ - 行政書士試験対策講座|資格の予備校ならLEC東京リ…
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LEC野畑講師の採点予想
LEC行政書士講座のエース講師で、「行政書士試験のトリセツシリーズ」の著者・野畑先生による記述式の見解。なお、LEC行政書士講座の公式見解ではない。
令和4年(2022年)度行政書士試験講評~記述の採点基準はどうなるか(予想)~
NEW!2022-11-13 23:43:03(中略)
記述の採点基準はどうなるかとなると、択一のみで180点に近づけるということが昨年より難しくなるので、記述次第で合否が分かれるという受験生が昨年より多くなるように思われます。
では、記述の採点基準はどうなるのでしょうか。
こればかりは、択一の成績リサーチのデータが揃ってこないと何とも言えません。本当に肌感覚でお伝えするのであれば、択一平均点は154~156点くらいになりそうな気がします。
そうすると、現時点では、記述の採点は昨年程厳しいものにはならないと考えています。ただし注意点が・・・昨年と今年の記述問題の「質」の違い
ただ、昨年は記述の論点が3問ともわかりやすかったからこそ、正確に記載しないと点数に反映されなかった(採点が厳しかった)と考えられます。
それに対して、今年は3問とも「受験生が引っかかりそうな落とし穴」が仕組まれているので、採点記述は厳しくなかったとしても、論点ズレの記載をしてしまいごっそり点数を持っていかれる(点数が付かない)という可能性があります。
正確な分析はリサーチデータが揃ってから
とはいえ、まだまだ情報が足りません。
大体15日(火)頃からデータが集まってくるので、データ踏まえてあらためて記事にしたいと思います。
(続きは、野畑先生の公式ブログで↓)
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令和4年(2022年)度行政書士試験講評~記述の採点基準はどうなるか(予想)~ | のばたーの行政書士受験生応援ブログ(アメブロ)
繰り返しになりますが・・・本試験お疲れ様でした。2022年の本試験が終了しました。繰り返しになりますが、本当にお疲れ様でした。 リラックス・・・というの…
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【野畑講師の分析動画】成績リサーチ(途中経過)からみる本試験傾向と記述採点予想(2022年11月14日現在のもの)
TAC森永寛司先生の採点予想
2022年行政書士試験 各問題の講評〔たぶん最速〕
2022年11月14日 02時12分56秒(中略)
問題44 A→要するに、建築確認もらって建物を建てた人がいるが、周辺住民は違法建築だと怒っている。B市長に対して文句をいったがとりあってもらえない。よって、抗告訴訟を検討している。そこで何を求めるのかというと是正命令を欲しているわけですね
→さて、まず何訴訟を起こすのか、ということに関しては「抗告訴訟」という縛りがある。行政事件訴訟の体系図は絶対頭に入れるように言っておりましたが、あれが頭に入っていれば抗告訴訟以外は抹殺できる。では、抗告訴訟のなんなのか、というと是正命令を出してほしいわけですから取り消すだけではだめ。よって取消訴訟はない。無効等確認訴訟もない。無効を確認するだけだから是正命令に繋がらない。申請して不作為があるわけでもないから不作為違法確認でもない。また、不作為違法確認も不作為は違法だと確認するだけだから是正命令に繋がらない。まだされていない処分をしないように差し止めるわけではないから差止訴訟でもない。ということで義務付訴訟しか残らない
→これで③は入る。そして、散々頭に入れないといけないと言っていた訴訟要件・勝訴要件のうち、求められている訴訟要件を書けば②も埋まる。あとは被告適格を判断できれば高得点が見えてくる。義務付訴訟好きですね。本試験委員は
問題45 B
→ヤマを張っていた代理から。おそらく予備校界は代理権の濫用を予想するだろう〔私もしていますが〕。しかし、それを外しつつ基礎知識を出してくるのではないかということで自己契約・双方代理をあげていましたが外れてしまいすみません。ただ、やはり予想を外しつつも基礎知識からきた
→「無権代理と相続」は択一基礎知識。拒否できるかどうかはほとんどの受験生が答えられるはず。あとは信義則が入るかどうか。「信義則が出てくるとこ注意してまとめて記述注意」や「重過失が出てくるとこ注してまとめて記述注意」などと授業で散々言っておりましたが、そのような地道な努力が実を結ぶ問題なのではないか
問題46 A
→ヤマとしていた債権者代位から
→基本講義で散々言っていた債権者代位と他の論点が絡む場面。本問ではAは賃借権は持っている。賃借権は物権ではなく債権。よって、基本的には契約の相手方に対してしか文句は言えない。これが物権と債権の違い。この弱い権利である賃借権も、賃借権登記があれば物権化し相手方以外の者にも主張することができる。これが不動産賃借権の物権化。しかし、本問では登記がない。よって賃借権によって何かを主張することは難しい
→AがBに対して賃借権を持っている。BはCに対して所有権に基づく明け渡し請求をすべきだが、やるべきことをやっていない。そこで、債権者代位権をAが行使することができるというのが本問の筋でしょう。基本講義やレジュメのまま
→ただ本問は問いの核心部分が「ほわぁ」としていて「カチッ」としていない。何を書くべきかは気づけても、どう書いたらいいのか悩むのではないか。記述の詳細は後日少しずつ書く予定ですが、まずは「どのような請求をするのか」という点を丁寧に記述することができたかどうか。今現在塀があるわけですから、単に明渡しを請求しただけでは建設工事をすることができなさそう。場面イメージできたかどうかでしょうね。基本講義から散々言っておりましたが。
→あとは法的根拠。賃借権では言えないわけです。ほんならなんの権利なんか、ということでBの所有権。それを代わりにAが行使するんやで、ということも記述すればだいたい40字になる
記述式講評
→問題としてはやや易しいと思います。何を書くかは判断しやすく論点ずらしは起きにくい。これから一般知識見るんで断定できませんが、やや記述の採点絞るかな、と今の時点では思います。書いてほしいキーワードないとズバッといくのかなぁと思います。重大な損害とか信義則とか債権者代位権とかでしょうかね。後日記述の採点に関しては突っ込んで書く予定ですが、現時点ではこんなところでしょうか
(続きは、森永先生の公式ブログで)
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2022年行政書士試験 各問題の講評〔たぶん最速〕 | 森永の小部屋
受講生の皆様、お疲れ様です。 2022年度の本試験が実施されました。 講師の主観よりは、受験生の客観的なデータが一番信用できる情報となります。1~2週間程度で…
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記述式採点基準
2022年11月15日 00時06分23秒NEW !(中略)
記述は論点ずらしは起きにくい問題。独学性等は行政法の訴訟類型で様々な回答が書かれていることが予想されますが、昨日書いたような絞り込みが出来た人にとってはそこまで論点発見が難しい問題が連発、という年ではないと思います。一問強烈な問題が出て、まるまる一問捨てるような年に比べれば今回の記述は「やや易しい」と言えると思います。ということで、昨日の段階では、択一が普通だとしても記述が易しいぶん、全体を通してみれば「やや易しい」と書いておりました。あとは記述の採点で調整かな、という感じ。
ただ、既に述べたように、おそらく記述以外は2020年と同じような感じでしょうし、記述も特に行政法で論点ずらしをしている答案がある程度予想されるでしょうから、昨年のような厳しい採点基準は取らんかな、と思います。
ある程度キーワードが入っていればそれなりの点数はつくでしょう。しかし、キーワードが抜けているとバッサリいかれることも予想されます。
(続きは、森永先生の公式ブログで)
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記述式採点基準 | 森永の小部屋
受講生の皆様、お疲れ様です。 本試験から一夜明け、少しは落ち着いてきたでしょうか。 昨日、本試験の講評をあげましたので、まだ見ていない方はこちらを参照してくだ…
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2022行政書士試験 問題46について軽く
2022年11月20日 02時03分04秒(中略)
さて、いろいろと思うところがあるのですが、今日のところは考えられるNGワードを。NGワードとは、これを書いてしまうとバッサリ減点されてしまい、部分点すら付かなくなってしまうワードです。
本問では、「賃借権に基づいて妨害排除請求をする」と書いてしまうと、妨害排除請求というキーワードが書けていたとしても点数がつかないのではないか、と思います。
本問では、賃借権に基づく請求は登記を備えていないため民法上は行うことができません。問題文に登記がないと書いているのに賃借権を書いてしまうと、「賃借権に基づく請求は書いてはいけませんよ」という試験委員のメッセージを無視してしまうことになってしまいます。
直前期に必ず講義で言うことですが、「何を書くべきか」ということだけでなく、「何を書いてはいけないか」ということも問題文の中から根拠を取るようにすることが記述対策の基本です。
(続きは、森永先生の公式ブログで)
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2022行政書士試験 問題46について軽く | 森永の小部屋
受講生の皆様、お疲れ様です。 昨日まで、本試験の記述の問題に関して書いてきました。 残す記述の問題は46だけですが、採点が一番読めないのがこの問題46です。 …
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択一を含めた全体の無料成績診断も重要!
ここまで40字記述式問題の無料採点サービスを実施する大手スクールについて紹介させて頂いた。確かに記述式問題は300点満点中の60点の配点と、行政書士試験の合格を目指す上で大きなウエイトを占める。
もっとも最終合格には配点の大部分を占める「法令科目」、そして足切りもある「一般知識」と他の科目も総合して合格可能性を判断する必要がある。

足切りにも気を付けたいところです
これにはLECやTAC、資格の大原などで実施されている無料成績診断サービスをフル活用したい。この無料成績診断サービスについては、下の記事を参考にされると良いだろう。
また今回の行政書士試験の難易度など講評については、各スクールの解答速報はもちろんのこと、講師の方が自身のブログで独自の見解を述べていることがある。
これについては、LECや伊藤塾、アガルート、東京法経学院など大手スクールの講師陣による行政書士講師ブログを参考にされることをおすすめしたい。
また行政書士試験では難問奇問の類が出題されることがある。平成28年度本試験ならば、記述式問題の民法で、ノーマークに近い親族分野の「財産分与」が出題された。
そこで2022年度記述式問題の難易度・出題傾向など詳細については、今後の各スクールの分析に注目して頂きたい。
(画像はイメージです。)