司法試験予備試験の短答式で思わぬ落とし穴になってしまうのが、家族法(親族・相続)。もともと民法は条文が多く、物権・債権編のマスターで手いっぱいになる受験生の方が多い。家族法は論文試験で出題される可能性は低いものの(注)、短答式試験では確実に出題される。「予備試験の難易度と合格率、試験の傾向を分析」はこちら
(注)「日常家事債務と代理」など総論分野との複合、「共同相続と登記」「相続放棄と登記」など物権分野の複合論点は、論文試験でも出題される可能性はある。
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したがって家族法については、比較的短い時間で手際良く学習を進めたい。そこで一つの学習方法を以下に示したい。
- 基本テキストの通読
- 短答式過去問の挑戦
- 完全整理択一六法で知識の確認
スクール利用者の方ならば、入門講座など初学者向けのテキストを読む。一般的に細かい知識まで言及しているテキストは多くないので、親族・相続それぞれの基本的な知識(用語)や流れを押さえる。
いきなりではあるが、予備試験の短答式試験の過去問題に挑戦してみる。少しハードルが高いと感じたら、解答解説を「読んでみる」方法もおすすめだ。「これでは実力が確認できないではないか?」という声も聞こえてきそうだが、模擬試験で実力を確認する場はある。心配は不要だ。
LECの短答式書籍「完全整理択一六法」で過去問で問われた点を中心に復習を行う。完全整理択一六法では過去の予備試験での出題経歴をアイコンで表示しているため、過去に問われた内容を効率よくフォローできる。完全整理択一六法の詳細はこちら
完全整理択一六法の特長とは?
徹底した判例と条文の理解のために!大好評の受験用六法「完択」シリーズ。
受験用六法としての活用、また短答式試験で必要な条文・判例・過去問知識の情報を、図表・判例索引などを用い、見易く整理することで、効率的な受験勉強を可能としました。
重要基本論点のポイント解説や全体構造の把握を盛り込み、全体的に大胆なメリハリを付け、効率的な学習ができるように工夫しています。
最新の司法試験ならびに予備試験の出題を反映。法改正を反映し、最新判例の内容を掲載して翌年度の試験に対応できるよう改良しました。出典:LEC東京リーガルマインド
http://www.lec-jp.com/yobi_shiken/book/
また完全整理択一六法は情報量が多いため、一度でマスターすることは避けたい。過去問演習の際に当該箇所を完全整理択一六法で確認するなど、こまめに書籍に接し、何度も繰り返すことで無理なくマスターするのがおすすめだ。そして論文学習やメイン科目(憲法・刑法・民法の財産法)の間、またスキマ時間などにコツコツと学習をすることも検討して欲しい。
▲ 完全整理択一六法「商法」から
受験新報の活用も
予備試験短答式の家族法対策としては、「過去問+完全整理択一六法」で充分だろう。もっとも他の科目(分野)も学習する必要があるので、ここまで手が回らない受験生の方も多いのではないだろうか。
そこで手際良く学習したい方に紹介したいのが、司法試験や予備試験対策の学習雑誌「受験新報」だ。この受験新報は月刊誌で、毎月特集記事が組まれる。その特集記事で家族法が扱われることがあり、この記事で学習してみる方法である。
過去の受験新報のバックナンバーで家族法を扱っている号は以下のものがある。
- 受験新報 2016年7月号
- 受験新報 2015年3月号
図表でわかる民法重要テーマ[債権・親族・相続]。これは前号の[総論・物権]につづくもの。本号では親族・相続の他、民法の最重要分野とも言える債権分野についても、分かりやすい図表が用意されている。辞表であるため、文章よりも情報量が集約されており、似た制度の比較対照もでき複雑な内容も整理しておぼえることができるだろう。受験新報2016年7月号の詳細はこちら
▲「受験新報 2016年7月号」。この他の特集として「試験に出る 要件事実論証パターン40」がある。言うまでもなく予備試験には論文試験があり、その論文試験対策に参考にしたい記事である。
「予備試験対策 家族法・商法総則・商行為法・手形法・小切手法のポイント解説」。予備試験対策として手薄になりがちがマイナー分野を対象にしたポイント解説。メイン分野は差が付きにくいが、マイナー分野を集中的に学習することで得点力のアップもできるかも知れない。受験新報2015年3月号の詳細はこちら
▲「受験新報 2015年3月号」。このほか好評の中央大学真法会による誌上添削教室も掲載。
ここまで予備試験短答式の効率的な家族法対策の学習法を見てきた。もちろん時間に余裕があれば、基本書から順序良く学習を進めるのが理想的だ。もっとも社会人受験生の方など学習時間に制約のある方も少なくない。短答式試験の合格を目的とするならば、今回のような学習法も検討されてみるのはいかがだろうか。
また司法試験講師ブログに掲載されている講師陣の記事も参考になるかもしれない。予備試験は短答式の他、論文式、口述試験と3ステップもあり、また法律7科目に加え、法律実務科目や一般教養もある。効率よく学習を進める視点を持たないと時間切れになってしまう。ぜひ自分に合った効率の良い学習法を見つけて頂きたい。