集団的自衛権や憲法改正など昭和22年5月3日の施行以来、大きな動きを見せようとしている日本国憲法。この日本国憲法、中学や高校などで学習するが、良く内容が分からない方も少なくない。
何より憲法は公務員試験を始め、司法試験や司法書士試験、行政書士試験など法律系資格で必須科目となっていることが多く、条文はもちろんのこと関連判例まで深い理解が求められる。
初学者におすすめな憲法漫画
そこでこれから憲法を学ぶ初学者の方におすすめなのが、漫画である。マンガと言うと子供向けという印象が強いが、憲法漫画の中には大手スクールの講師の方が監修した書籍もあり、スムーズに入門レベルの知識がマスターできるかもしれない。
そんな憲法漫画の中からおすすめの3冊を紹介したい。ご自分に合った憲法漫画を比較検討して購入されると良いだろう。また関連として、憲法の重要判例をまとめたマンガ本も併せてご案内したい。
マンガでわかる憲法入門
資格スクールの伊藤塾の塾長をされている伊藤真先生が監修されている入門漫画。マンガでありながら説明の文章量も一定量確保されているため、基礎事項の理解に役立つ。
また「マンガだけでなく、文章や注にて、なじみの薄い法律用語や条文について、ひとつひとつを丁寧に解説しています。さらに『伊藤先生からのヒトコト』や『Point! 』などで、憲法を理解する要点や、試験に出る憲法の注意点などをクローズアップしました。(アマゾンより引用)」と言うように、漫画ながら収録されている情報量も多い。
欠点と言えば、漫画で登場する伊藤真先生が本物と似ていない点だろうか。もちろん本質とは関係ないので無視されて結構だろう。
マンガでわかる日本国憲法
「憲法が良く分からない」という初学者の方も少なくない。その理由の一つが人権分野を中心とした抽象的な条文である。そこで漫画で分かりやすく解説しているのが「マンガでわかる日本国憲法」である。
本書では漫画を使いながら重要条文をていねいに解説。前文から103条まで全文を収録しているので、公務員試験や行政書士試験など各種試験の入門書としても使えるだろう。
そして最近の大きな論点となっている「集団的自衛権」など重要テーマについて、詳細な解説を加えるほか、外国の憲法と比較検討することで理解を深める。
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監修は「憲法がしゃべった。世界一やさしい憲法の授業」や「小説で読む民事訴訟法」など難解な法律を初心者でも分かりやすく解説する弁護士・木山泰嗣(きやまひろつぐ)先生が担当。
木山泰嗣先生は税務訴訟など第一線で活躍するプロ弁護士の方だが、資格スクールのLEC東京リーガルマインドで「もっと論理的な文章を書く講座」などの講義を担当するなど、分かりやすさが特長。そんな木山泰嗣先生監修の「マンガでわかる日本国憲法」で憲法の理解を深めて頂きたい。
こちら葛飾区亀有公園前派出所 両さんの国のしくみ大達人 憲法から地方自治まで
少年ジャンプでお馴染みの人気漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」。通称「こち亀」でお馴染みの両さんがガイド役をする学習漫画。
本書の特長としては、基礎の基礎から説明している点である。したがって受験生だけではなく、親御さんが子供(小学生)に読ませるケースもあるらしい。いずれにせよ試験対策の視点を考慮に入れず、「楽しく憲法の基礎を学びたい」という視点で選ぶならば、本書がおすすめだろう。
手塚マンガで憲法九条を読む
あの手塚治虫先生による憲法漫画。憲法9条に絞っているのが特長。試験対策の面で見れば、憲法9条は予備試験短答式などで出題されるぐらいで、重要度は低いといえる。
もっとも平和主義は日本国憲法の根幹であり、試験に出る出ないに関係なく理解しておきたい。
石ノ森章太郎まんが日本国憲法
こちらも有名漫画家・石ノ森章太郎先生による漫画本。「集団的自衛権」「憲法9条」「表現の自由」など人権を中心とした構成になっている。
試験対策というよりも、憲法改正論議に備えて読んでおきたい一冊と言えるだろう。
池上彰さんが監修「マンガ 僕たちの日本国憲法」
元NHK記者でジャーナリストの池上彰さんが監修した憲法漫画。高校3年生の彩、和久、ひかるの3人が参加する特別講義という設定で、漫画が進む。
先生役の池上彰さんが生徒に質問を投げかけ、それに考えながら答える、という流れ。漠然と漫画を読むのではなく、読者が生徒役になることで、重要な憲法問題を能動的に考えることができる。
4コマ漫画で小学生でも理解できる!「オールカラー マンガで楽しくわかる日本国憲法」
憲法を初めて学ぶ小学生でも理解できるように制作されている。「4コマ漫画」+「オールカラー」で楽しく学べるため、挫折の心配もないだろう。
なお監修は憲法学を専攻する川岸令和・早稲田大学教授。内容面でも安心だ。
憲法の成立過程を知りたいなら「マンガで読み解く そして日本国憲法は作られた」
アメリカによる押し付け憲法などと揶揄(やゆ)さえる日本国憲法だが、実際の成立過程はどのようなものだったのか。
憲法改正論議に備えて読んでおきたい1冊だが、マッカーサーや幣原喜十郎ほか現憲法制定に関わった重要人物のストーリーもまた興味深く読むことができる。
判例マンガ
各種資格の試験対策の学習に進まれるとお分かりになるが、憲法では判例の学習が極めて重要になる。人権分野など条文数がきわめて少なく、この解釈を補完するのが判例である。
この憲法の重要判例をマスターするには有斐閣の「判例百選」がベストの選択となるが、初学者の方がいきなり「判例百選」で学習を開始されると、間違いなく挫折する。上下2分冊になっているなど、情報量が多い為である。
法律入門 判例まんが本 憲法の裁判100
そこで利用をおすすめしたのが、「法律入門 判例まんが本 憲法の裁判100」である。本書は「憲法判例百選」から重要な判例を厳選している。事件の概要を4コマ漫画で説明し、「判旨」および理解を助ける「コメント」が掲載されている。
何より制作・発行元が法律系資格スクールの大手である辰巳法律研究所だ。この「判例まんが本」も2016年11月現在、法律別に9冊発行されるなど、その人気の高さが窺えるだろう。
音声で学ぶ憲法
憲法は人権分野など暗記科目ではない。しかし憲法の統治分野は条文の記憶だけで得点につながるケースも少なくない。そこで憲法の条文を記憶する音声付き書籍やツールの利用もおすすめだ。
この音声で学ぶ憲法については、こちらの記事を参考にして頂きたい。【憲法条文音声比較】「ドラマチック憲法」と「かんたん!AITalk」、「聴く」日本国憲法
ここまで憲法を説明した漫画について3冊を厳選し、それぞれの特長を比較しながら紹介してきた。「マンガで法律資格の合格など考えられない」という受験生の方の声も聞こえてきそうだが、実際に書店に足を運んで頂ければ、その豊富さが分かって頂けるだろう。つまり学習アイテムとして人気があるということだ。
ぜひ漫画を入門期に学習し、その後の本格的な試験対策の学習につなげて頂きたい。