2019年11月10日(日)に実施された令和元年度行政書士試験。平成29年度は約15.7%、平成30年度は12.70%とかなり高い合格率であり、その反動が今年が起きるのか注目される。
その行政書士試験の難易度であるが、一部分野は別として、法令科目は全体的に「標準的~やや難しい(特に民法・憲法)」レベルという見方もある。そして合格に大きな影響を与えるのが「40字記述式問題」である。
この記述式は300点満点中の60点を占める分野であり、うまくキーワードを含めるなど答案を作れれば合格ラインの突破に近づく。そんな記述式問題(問題46)の難易度が上がった。
(画像はイメージです。)
そして厄介なことに、記述式試験の採点基準は一切公表されていない。一般的には要求される「キーワード」が過不足なく書ければ合格点レベルの答案になると考えられるが、択一科目の難易度によって採点基準も厳しくなる(反対に甘くなる)ケースもあるため、何とも言えない。
そこで受験生の方におすすめの講評記事を紹介したい。大手試験対策講座による講評や受験指導を行っている講師の方による記事である。
なお大手スクールを中心に、40字記述式問題の無料採点サービスを行っている(期間限定)。
【行政書士試験】2023記述式無料採点サービス、LEC・フォーサイト・TAC・辰巳講評動画・有力講師の採点予想まとめ
合格を左右する記述式 行政書士試験において大きな配点を占める記述式問題。300点満点中の60点という配点なので、出来次第で合否が決まると言っても過言ではない。 平成18年から試験制度が大きく変わった行 ...
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フォーサイト行政書士講座
分かりやすいフルカラーテキストでお馴染みのフォーサイト行政書士講座でも、試験講評(速報版)が公開されている。
この講評から一部引用すると「記述式については、例年通り問題44の1問が出題されました。昨年に続いて、今年も行政法の記述式は難しい問題でした。行政手続法のマイナー知識ですが、テキストにはきちんと掲載されていますので、できれば食らいついていきたいところです。(2019年11月11日時点での評価)」と、やはり難しいとの評価だ。
そして民法の記述式だが、問題45で確実に点を重ね、問題46はなんとか対応しようとした受験生の方がいらっしゃった印象だ。
そんな民法(問題45および46)についてもフォーサイトで詳しい解説と分析がされているので参考にされると良いだろう。
▲講評のほか、解答速報の公開も(画像はフォーサイト行政書士講座から)。なお講評ページでは記述式の他、法令科目や一般知識についての解説も掲載されている。
【解説講義】アガルート豊村慶太先生による記述式解説
元LEC行政書士講座の講師で、現在はアガルートアカデミー行政書士講座で講義を担当する豊村慶太先生による解説講義。
問題44・45・46について、合計で約11分にわたり解説を行っている(多肢選択式を含む)。またアガルートでは記述式の「無料採点サービス(林裕太先生が採点)」を実施している(先着100名様)アガルート解答速報はこちら
【動画】「令和元年度 行政書士試験 豊村慶太講師による全問!解説講義 記述 豊村慶太講師」
行政法(問題44)、民法(問題45および46)を20分かけて、徹底解説!
【動画】「令和元年度 行政書士試験 本試験分析対談① 豊村慶太講師×林裕太講師|アガルートアカデミー行政書士試験」
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【行政書士試験】2023記述式無料採点サービス、LEC・フォーサイト・TAC・辰巳講評動画・有力講師の採点予想まとめ
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小池昌三先生(TAC行政書士講座)
TAC行政書士講座の小池昌三先生による令和元年度記述式問題の分析。なお小池先生が運営されているブログ記事であり、TACの公式見解とは異なる場合がある。
記述式についてもちょこっと感想を。
【行政法】
来ましたね!久しぶりの行政手続法が!!
処分等の求め。
択一ではよく出題されるところなので
何とか半分ぐらいは得点してほしい。【民法】
1問は共有。
択一の大ヤマ。超基本テーマ。
記述で問われても
8割以上は得点してほしいところ。もう1問。
第三者のためにする契約。
これはやられた。。
全くの盲点でした。
ここの得点は難しいかもしれません。3問トータルで30点ぐらい得点したい。
引用『行政書士試験・受験お疲れ様でした。』(2019年11月10日(日) 21時02分26秒時点での記事)
\期間限定、あの講座が大幅割引↓/
LECタイムセールはこちら→
野畑淳史先生(LEC行政書士講座)
LEC名古屋地区で講義を担当する野畑淳史先生のブログ記事から。豊富な指導経験を持つ野畑淳史先生の分析に注目。
こちらも野畑先生独自の見解であり、LECの公式見解と異なる場合がある。
【記述】
昨年と同難易度です。
ただし、問46が難しいので、問44と45でどれだけ得点を稼げるかが肝になります。問44
久しぶりの行政手続法ですが、「処分等の求め」は改正以来毎年のように出題されていたため、条文をしっかり読み込んでいた受験生も多かったのではないでしょうか。たしか、記述60問解きまくり講座でも同じような問題がありましたし、私の通常講義や通信講座・直前道場等でも紹介していた論点です。
問45
共有に関する論点です。ごくごく基本的な内容を記載させる問題ですが、「共有者の過半数」と記載すると、その部分の点数が入ってこないと思われるので少し苦しくなるかもしれません。
問46
第三者のためにする契約からの出題です。
マイナー論点なので、記載できなかった方も多かったと思いますが、これは仕方がないです。
「第三者のためにする契約」と記載できただけでも部分点がもらえるはずです。引用「【令和元年(2019年)度行政書士試験講評その4】~多肢選択・記述~」
2019-11-10 23:19:56
なおLEC行政書士講座では、詳細な解説を行う本試験分析会を実施する予定になっている。
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【解答速報】2023行政書士試験、講評・無料成績診断・本試験分析会・動画解説まとめ
2023年11月12日(日)に実施された令和5年度行政書士試験の解答速報です。 各試験対策スクールでは解答速報の公開の他、解答速報会ライブ、無料成績診断サービス、講評の公開など、受験された方のフォロー ...
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笠原裕明先生(東京法経学院)
東京法経学院行政書士講座の笠原裕明先生(福岡校通学・全国通信担当)による分析記事。平成28年、29年、30年度に引き続き、令和元年度試験でも詳細な記述式の分析を行っている。
令和元年度 行政書士試験 記述式 採点基準(笠原の考え)
(中略)
さて、本年度は、どういう採点基準が設けられるでしょうか。
確たることは言えませんが、本年度本試験を解いてみた限り、例年より少し易しめ
(ただし、一般知識をクリアーできれば)という感じです。
記述式も例年より易しい(ただし、言葉が思いつけば)という感じです。採点方法によるのかもしれませんが、
当方は、キーワードができていれば、配点されるのではないかと考えています。問題44
当方の解答は、「何人も、命令をすることを求めることができ、Yは、必要な調査を行わなければならない。」(41字)です。
このうち、①「何人も」、②「命令をすることを求めることができ」、③「必要な調査を行わなければならない」がキーワードです。
(当方だったら、①6点、②6点、③8点を振りますね。)問題45
当方の解答は、「共有者全員の同意が、修繕等には、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する必要がある。」(45字)です。
このうち、①「共有者全員の同意」、②「各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する」がキーワードです。
(当方だったら、①10点、②10点を振りますね。ただし、合格率が5%に近い数字になるようだったら、②を前半と後半に分けて、前半に4点、後半に6点を振りますね。)問題46
当方の解答は、「第三者のためにする契約といい、CがBに対して契約の利益を享受する意思を表示する必要がある。」(45字)です。
このうち、①「第三者のためにする契約」、②「C」、③「B」、④「契約の利益を享受する意思を表示する」がキーワードです。
(当方だったら、①6点、②4点、③4点、④6点を振りますね。)引用「行政書士試験受験生応援通信&行政書士かさはら事務所日記」
(注、2019.11.11時点での記事です。今後評価が変更になる場合があります)
採点基準も!予想をしたい受験生の方必見!
追記
■ 「一つでもキーワードを間違っていると、その問題は、0点とする。」という厳しい採点基準を設けることは理論上可能ですが、記述式問題が40字程度の文章を書かせるようになった平成18年度行政書士試験以降、そのような厳しい基準が設けられたことはありません。■ 余計なことを書いていても、誤りがなければ、部分点はつきます。
ただ、字数との関係で、キーワードを落としてしまうでしょうから、その部分は得点できないことになりますね。■ 積極ミスは、そのミスの程度、採点基準にもよりますが、そのキーワードは0点になります。たとえば、正答が「家庭裁判所」である場合に、「裁判所」でも点数がもらえるのに、「地方裁判所」と書いたような場合です。
■ 点数は、2点刻みになっているようです。答案用紙の採点欄は、1から10までのマークシートになっていますからね。
引用「行政書士試験受験生応援通信&行政書士かさはら事務所日記」
横溝慎一郎先生(LEC行政書士講座)
LEC行政書士講座のベテラン講師である横溝慎一郎先生のブログ記事から。なお横溝慎一郎先生の独自の見解(評価)である。
記述・・・問題46はやや難しい。一方問題44は予想通りて標準的。問題45も標準的。
引用「2019年度行政書士試験所感(簡易版)」
2019年11月11日(月) 00時32分00秒
動画解説
山田斉明先生(元伊藤塾)による動画解説
元伊藤塾行政書士講座の講師で、現在はリーダーズ総合研究所(辰巳法律研究所)で講義を担当する山田斉明先生による動画解説「『2019年度本試験ワンポイント解説講義(択一式・記述式)』 (山田斉明先生)」
まとめ
ここまで令和元年度行政書士試験の記述式問題の講評について見てきた。確かに40字記述式は60点と言う高い配点で、記述式の得点次第で合格ラインの突破は見えてくる。着実に部分点を重ねていきたい。
しかし今年の本試験に限ったことではないが、「基本的な問題を確実に正解する」ことが大切。特に全体的に難しい年度は、取りこぼしだけは避けたい。
また今後について受験生の方がすべきことは、ただひとつ。大手スクールの無料成績診断を利用して正確なデータ・情報を把握することだ。今年度はTAC行政書士講座・LEC行政書士講座・資格の大原などが実施している。
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【解答速報】2023行政書士試験、講評・無料成績診断・本試験分析会・動画解説まとめ
2023年11月12日(日)に実施された令和5年度行政書士試験の解答速報です。 各試験対策スクールでは解答速報の公開の他、解答速報会ライブ、無料成績診断サービス、講評の公開など、受験された方のフォロー ...
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また行政書士講師ブログでは、伊藤塾講師やアガルート講師によるコメント記事も案内されている。こちらも併せて参考にされると良いだろう。行政書士講師ブログはこちら
そして今年は一般知識でも一部難しい出題がされた。こちらも併せて検討されると良いだろう。